*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

第6期若手医師部会「クルー100人プロジェクト」各チームへ興味のある方はこちらからメーリングリストへご加入ください!
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2015年12月15日火曜日

結局、総合診療専門医、って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜 in 埼玉医大報告

ジェネラリスト80大学行脚プロジェクトスタッフの杉谷です。
11月14日(土)に埼玉医科大学で開催された勉強会の報告を頂きましたので紹介します!!
報告書を作ってくださった長谷川さん、有難うございました!
 
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結局、総合診療専門医、って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜
 
 
【日時】2015年11月14日(土)
 
【場所】埼玉医科大学毛呂山キャンパス オルコスホール1511教室
 
【講師】
中元 秀友:埼玉医科大学 総合診療内科 教授、埼玉医科大学病院研修管理委員長
前野 哲博:筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 附属病院 総合臨床教育センター・総合診療科 教授/
      日本プライマリ・ケア連合学会 副理事長
柴﨑 智美:埼玉医科大学 地域医学・医療センター 准教授
高木 博:筑波大学 総合診療グループ 大和クリニック 副院長(埼玉医大卒業生)
大塚 貴博:医療法人麻葉会 明戸大塚医院 院長(筑波大学 総合診療グループ)
遠井 敬大:日本医療福祉生協連 家庭医療学開発センター(CFMD)/川崎セツルメント診療所 所長(埼玉医大卒業生)
高橋 聡子:筑波大学 総合診療グループ 後期研修医
橋本 正良:埼玉医科大学 総合診療内科 教授 外来医長
小林 威仁:埼玉医科大学 総合診療内科 講師 病棟医長
 
【参加人数】36名(医学生29名、初期研修医1名、後期研修医1名、その他医師3名)
【主催】日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部会 関東支部
 
【共催】
埼玉医科大学地域医学・医療センター
埼玉医科大学総合診療内科
日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト
 
【WS内容】
▼ Opening Remarks
<グループワーク①総合診療のイメージって?>
 各グループで各々が ”いま” 思っている総合診療について話しました。
 
▼ シンポジウム「徹底討論!総合診療というキャリアパス」
前半:大塚先生・高木先生・遠井先生のキャリア紹介
後半:質疑応答
 お三方に自身のキャリアについてお話ししていただきました。
 あんなことや、こんなこと…。
 みなさま、いろんな思いを持って ”いま” の道を歩いています。
 偶然の出会いや偶然は必然?など…総合診療の道は不安があるかもしれませんが、必要とされているからやりがいがある、と口を揃えておっしゃっていました。
 
▼ 中元先生講演  自身のキャリアパスと埼玉医大総合診療内科の展望
 ”いま” の埼玉医科大学の総合診療内科を立ち上げた先生です。
 主にホスピタリストとしてご活躍されており、様々な病院で診療された経験が ”いま” につながっているとおっしゃっていました。
 患者さんのことを第一に考えて診療できる医療人を今後育てていき、埼玉県の医療を埼玉医科大学総合診療内科から変えるという力強いお言葉をいただきました。
 
▼ 前野先生講演
前半:総合診療とは
 グループワーク②総合診療のイメージは変わりましたか??
後半:新専門医制度について(新しい「総合診療専門医」)
 ”総合診療”って結局なんですか。そんな問いにお答えいただきました。
 地域をまるごと診る、その人のところに相談に行けばなんとかなる one stop service、大学の現場から発信する総合診療、急性期の臓器別専門医=ゴールキーパー、総合診療専門医=ペナルティエリア外からゴールを阻止する(DFまで)などなど…
 
 この度の企画ではたくさんの先生方に遠くからお越しいただき、大成功をおさめることができました。
 この場を借りて感謝申し上げます。
 
 当日はたくさんの”ヒト”の”化学反応”がありました。
 多くのものを感じ取り、学び取って各々帰ったことと思います。
 しかしながら大事なことはこれ以降の自身のアクションです。
 今回の企画で灯った「火」を消すことなく、今後とも埼玉医大では総合診療を体系的に学ぶ機会を定期的に設け、埼玉医大から様々なことを発信していけるよう力を蓄えていきたいと強く思うと同時に、自分たちで道を切り開き、振り返ったその道こそがキャリアなのだと、振り返ったときに胸を張れるように頑張っていきたいと思っています。
 全ては”ヒト”の幸せのために…。

2015年12月10日木曜日

「第11回若手医師のための家庭医療学冬期セミナー 特別企画 eパネル企画」へのご協力のお願い

「若手医師のための家庭医療学冬期セミナー」(以下 冬期セミナー)は今年度で11回目を迎えることとなりました。前回のセミナーでは、「キャリア支援企画」としてキャリアパスの提示をパネル形式で行い好評を頂きました。そこで今回も、後期研修、フェローシップ等のキャリアパスの提示を企画しております。
 今回はテーマの”Link”にちなみ、実際にセミナーに参加できない方にも見て頂けるように、Facebookでの掲載(eパネル)のみの予定としております。ご協力いただける施設は、下記の手順で応募をお願いいたします。

【企画の概要】
1. 当セミナーについて
日時:2016220( 21()
会場:東京大学本郷キャンパス(東京都文京区);医学教育研究棟第18セミナー室および鉄門記念講堂 他
対象:総合的な医療を目指す初期研修医・専攻医・若手医師
定員:320名(予定)
テーマ:Link 〜紡ぎ、広げる わかてのわ〜
2. パネル企画 キャリアパス紹介について
<企画内容>
・対象:専攻医を中心としたこれからのキャリア形成を考えている医師
・目的:インターネットを通じて国内のプログラムを広く共有する
・形式:Facebook上に掲載(口頭・展示発表はありませんが、Facebookのコメント機能や”いいね”ボタンを使用して頂くことで、双方向的なやりとりが可能です)
<応募方法について>
 現在、後期研修プログラム、フェローシップ、Faculty Development各種専門医認定を目的としたプログラムもしくは復職支援プログラムを提供されている施設や大学院等に、内容のご紹介をお願いしたく公募をいたします。
この企画は専門医を目指す医師のキャリア支援を目的に行っています。各プログラムのリクルートの場ではない点をご了承ください。
なお、締め切りは20151222()とさせていただきます。
<応募手順>
1. 施設単位でポスター画像データ(PDF形式に限る)を下記アドレスまでメールでお送りください(ポスター記載項目は下記参照)。応募はプログラム責任者でなくても可能です。1つの施設で複数プログラムがある場合は、その旨もご記載ください。
2. 掲示条件を確認後、担当者より1週間程度で折り返しご連絡いたします。万が一、連絡がない場合は企画代表(Mail: fuyusemi.pannel@gmai.comへご連絡ください。

※ 原則として1つの施設は1つのポスターでのご応募をお願いいたします。 

記載内容は下記の通りです。
**********************************************
<ポスター記載項目(必須)>
1.施設名
2.プログラム名称
3.代表者氏名
4.代表者連絡先(E­mail アドレス等)
5.分類選択(後期研修、フェローシップ、Faculty Development、大学院、復職支援、その他)
6.プログラムの内容(100字程度)
  例:公衆衛生を学ぶためのPhDコース、〇〇資格取得できます など
7.在籍者数または修了者数 もし分かればそのうち家庭医療専門医の数もお願いします
**********************************************

本企画に関してご不明な点などがございましたら、企画代表(Mail: fuyusemi.pannel@gmail.comにお問い合わせください。 どうぞよろしくお願い申し上げます。

2015年12月9日水曜日

表題翻訳プロジェクト American family physician 2015年8月1日号 (小林直子)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。

雑誌名:American Family Physician ; 8/1 号 (小林直子)

Article

◎英語題名:Rosacea: Diagnosis and Treatment
◎翻訳題名:酒皶:診断と治療
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26280139
◎一言コメント
 酒皶は原因不明の慢性顔面疾患で、その特徴は顔の中心に一時的または永続的な紅斑、毛細血管拡張、炎症性丘疹および膿胞と結合組織の過形成である。4つのサブタイプと一つの変異体に分類される。(紅斑毛細血管拡張型、丘疹膿胞型、腫瘤様型、眼型、肉芽腫様型)
治療は誘因を避け、刺激の少ない石鹸を使用し、水分補給、日光を避けることである。炎症部位や紅斑の初期治療はメトロニダゾールアゼライン酸の局所塗布である。丘疹膿胞型はテトラサイクリンドキシサイクリンの全身投与、腫瘤様型は主にレーザーか光線療法で治療される。眼型は眼瞼の清潔保持とシクロスポリンや抗生剤の局所・全身投与である。 

◎英語題名:Management of Spontaneous Vaginal Delivery
◎翻訳題名:自然経膣分娩の管理
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26280140
◎一言コメント
 分娩開始期、分娩経過(分娩第1期、分娩第2期、分娩第3期)の各時期について解説されている。分娩開始時~分娩第1期にかけて、破水時の産道感染症(B群溶連菌感染症)の抗菌薬予防投与、正常分娩進行のために歩行や立位が推奨される、帝王切開既往があっても安全性に関する規準を満たし妊婦が希望すれば経腟分娩ができるように支援する。分娩第2期には会陰部を温めて圧迫しいきむ時間を充分に取る。臍帯が絡みついている場合は、結紮して肩が出る前に切断するかsomersault maneuverを使用する。出産後は母親とのスキンシップが重要、外肛門括約筋の損傷に注意し、Ⅱ度以上の会陰裂傷は吸収糸を使用して縫合する。分娩後期の硬膜外麻酔の中断とルーチンの会陰切開は推奨されない

◎英語題名:Common Skin Rashes in Children
◎翻訳題名:よくある小児の皮疹
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26280141
◎一言コメント
子供の発疹は外観だけでは鑑別が困難なので、適切な診断には全体の臨床像が重要である。
発熱を伴うものとして薔薇疹、伝染性紅斑、猩紅熱が、掻痒を伴うものとしてアトピー性皮膚炎、バラ色粃糠疹、伝染性紅斑、伝染性軟属腫、白癬が取り上げられ、それぞれの特徴が解説されている。

Department
Keeping Up to Date
POEMs

◎英語題名:Hand Washing Children’s Dishes Associated with Fewer Allergies
◎翻訳題名:食器の手洗いと子供のアレルギー発症は関連がある
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Hand+Washing+Children%E2%80%99s+Dishes+Associated+with+Fewer+Allergies
◎一言コメント
衛生仮説とは、乳幼児期の衛生環境が個体の免疫系の発達に影響を及ぼして、その個体がアレルギーになりやすいかどうかを決めるという仮説である。乳幼児期に手洗いした食器を使用し、発酵食品や農場から直接購入した食物を摂取すればアレルギー発症のリスクが減る、と報告している。

◎英語題名:Two-Hour Algorithm to Rule in or Rule Out Acute MI
◎翻訳題名:2時間で急性心筋梗塞を確定または除外する方法
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26280145
◎一言コメント
 高感度トロポニンを来院時と2時間後に測定し最高値と2時間値ら心筋梗塞を確定または除外することが可能である。最大トロポニン値が14ng per L ( 0.014 mcg per L)で、2時間後の絶対変化量が4ng per L (0.004 mcg per L)なら心筋梗塞は除外でき、最大トロポニン値が 52 ng per L以上で、2時間後の絶対変化量が 9ng per L以上なら心筋梗塞と確定できる。上記に当てはまらない場合はさらに経過観察が必要である。この方法は感度96%、特異度99%だった。

◎英語題名:Walking Program Effective for Chronic Low Back Pain
◎翻訳題名:ウオーキングは慢性腰痛に効果がある
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26280147
◎一言コメント
慢性あるいは再発性の腰痛を患う成人患者に、週4日1回10分から始め、週5日1回30分を目標とするウオーキングプログラムを行った。結果、通常の理学療法やグループエクササイズをするのと同程度に腰痛が軽減し、身体機能が向上した。ウオーキングプログラムは費用がかからず、患者のアドヒアランスも良好だった。

Practice Guidelines
◎英語題名:Management of ACL Injuries: Clinical Practice Guideline form the AAOS
◎翻訳題名:前十字靭帯損傷の治療:アメリカ整形外科学会ガイドラインより
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Management+of+ACL+Injuries%3A+Clinical+Practice+Guideline+form+the+AAOS
◎一言コメント
膝関節のポンとなる感覚と腫脹があれば前十字靭帯損傷が強く疑われる。磁器共鳴画像法(MRI)は前十字靭帯の確定診断に関して感度・特異度共に高い。再建術は受傷5か月以内に行うのが望ましい。術後リハビリテーションは早期介入群(19週)でも非早期介入群(32週)でも結果は同じだった。

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

2015年12月4日金曜日

冬期セミナー 参加登録開始は12月7日10時から!

今年も冬期セミナーの季節がやってまいりました。
2016年2月20日(土) ~ 21日(日) 東京大学本郷キャンパスで開催します。
家庭医療をより深めたい、仲間の輪を広げたい若手の皆様、是非ご参加をご検討ください!

募集開始は12月7日10時からです。以下のリンクから申し込めるようですよ。
http://www.primary-care.or.jp/seminar_w/20160220/ent.html

表題翻訳プロジェクト American family physician 2015年7月15日号 (内堀善有)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします

雑誌名:American family physician 2015年7月15日号 (翻訳者 内堀善有)

◎英語題名: Common Questions About the Pharmacologic Management of
Depression in Adults
◎翻訳題名:成人におけるうつ病の薬物治療のマネジメントについての一般的な質問
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26176368
◎コメント: 米国の11人に1人は、大うつ病の診断基準を満たしており、過去30日以内に抗うつ剤が処方されたと同数の報告がある。推奨されている治療であるSSRIは、プライマリケア人口において、緩解に至る人は、おそらくプラセボよりは多い(evidence rating B)。また、SNRIは、SSRIより、うつ病の症状が少しだけ多く改善するが、吐き気や嘔吐のような副作用がやや多い (evidence rating B)。また、抗うつ薬は、重症なうつ病に対しては、非常に有効である(evidence rating A)

◎英語題名: Differential Diagnosis of the Swollen Red Eyelid
◎翻訳題名:発赤・腫脹認める眼瞼の鑑別診断
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26176369
◎コメント:赤く腫脹した眼瞼は、プライマリケアでは、よく見られる。解剖学的に、眼窩領域を理解するとケアに導くことができる診断や緊急のケアの判断材料としては、症状が、急性か亜急性の発症かどうか、痛みの有無、眼瞼内に、触知できる腫瘤があるか?びまん性の眼瞼腫脹、視野異常や眼筋麻痺があるかどうかが含まれている。急性に生じている視野の変化や眼球外の動きの減少、穿通性の外傷がある場合は、緊急ケアの対象とされる(evidence rating C)。また、眼部の帯状疱疹ウイルスに罹患した患者は、角膜や視野への有害事象を避けるために、迅速に抗ウイルス剤の治療をされるべきである(evidence rating C)。眼窩前や眼窩蜂巣炎の患者には、医師は、地域の細菌の流行によっては、MRSAをカバーするエンピリックな抗菌薬治療を考慮してもよい(evidence rating C)

◎英語題名:Health Literacy in Primary Care Practice
◎翻訳題名:プライマリケアにおけるヘルスリテラシー
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26176370
◎コメント:ヘルスリテラシーとは、適切に健康にかかわる決定を行なったり、ヘルスケアシステムに到達することである。これらのスキルは、読み書き、算数、コミュニケーション、電子機器を扱えるかが含まれる。国の統計では、米国の3分の1以上の成人が、ヘルスリテラシーを制限されており、それが不健康な結果をもたらしたり、患者の安全性やヘルスケアへのアクセスや質に影響している。リテラシーを測定するツールはいくつかが開発されているが、研究レベルにとどまっており、ルーティーンに、使用することはアウトカム改善効果が証明されていないため、推奨されない。その代わりに、推奨するのは、全ての患者に対して、理解できてアクセスしやすい情報を提供することである。具体的には、専門的な医学用語を避け、小さな具体的なステップに分割し、3つのキーポイントに絞りることである。更に、印刷された情報は、5,6年生かそれ以下の人が読めるレベルに、記載されるべきである。視覚的効果、グラフ、挿絵は、患者の理解を強化することができる。


Departments
KEEPING UP TO DATE

Clinical Evidence Handbook
◎英語題名: Fungal Toenail Infections
◎翻訳題名:真菌の足爪感染
◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26176372
◎コメント: 真菌による足爪の感染は、爪甲、爪床、爪母などの足爪の一部分もしくは、全体の感染が特徴である。時間が経過すると、感染は、退色や爪の歪みを引き起こす。
成人の足爪の真菌症に対しては、どの治療が有効か?
→イトラコナゾールとテルビナフィンがに有効性が示されており、副作用などのための代替としてフルコナゾールがある。

Practice Guidelines

◎英語題名: Management of Non-ST Elevation Acute Coronary Syndrome: A
Guideline from the AHA and ACC
◎翻訳題名:非ST上昇型急性冠症候群のマネジメント:AHA・ACCからのガイドライン
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26176375
◎一言コメント:心筋トロポニン値は、患者の症状が、始まったところから、3~6時間毎に測定するべきである。最初の心電図にて、診断がついていないなら、最初の1時間は、15~30分毎に測定すべきである。経口のβブロッカーは、禁忌がなければ、24時間以内に投与されるべきである。ACE阻害薬は、EFが40%未満や高血圧、糖尿病、安定した慢性腎不全の患者に推奨される。

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

2015年11月30日月曜日

「産業医×家庭医~地域保健を担うジェネラリスト~」11月21日 報告

ジェネラリスト80大学行脚プロジェクトスタッフの杉谷です。
11月21日(土)に産業医科大学で開催された勉強会の報告を頂きましたので紹介します!!
報告書を作ってくださった池田さん、有難うございました!
 
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「産業医×家庭医~地域保健を担うジェネラリスト~」
 
【日時】2015年11月21日(土)
【場所】産業医科大学 実務研修センター3階305室
 
【講師】
梶木 繁之 産業医科大学
一ノ瀬 英史 飯塚病院
吉田 伸 飯塚病院
金 弘子 飯塚病院
黒木 弘明 特定医療法人北九州病院メンタルサポート室
 
【参加人数】23名(医学生20名、看護学生3名)
 
【主催】日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト
 
【共催】産業医科大学 学生有志
 
【WS内容】
アイスブレイクでは、自己紹介とともに「あなたはどんな医療者になりたいですか」との問いかけに対し紙に書く作業を行いました。
プログラム①ワールドカフェ「産業医って?家庭医って?」(75分)
家庭医・産業医それぞれのイメージをワールドカフェ形式で抽出・共有した後、各チームでグルーピング作業を行いました。ここでの目標は「産業医・家庭医について知る、共通点・相違点を探る」、参加者から上がったイメージをもとに、実際に家庭医・産業医のお立場でご活躍の講師の先生方からお話を伺いました。
 
プログラム②ケースワーク「ひとを知る・ひとを診る〜BPSモデルを使って〜」(70分)
Bio Psycho Social モデルを学び、ケースワークを行いました。
58才 男性
主訴)「健診異常の指摘」
2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、喫煙・・・などの健康問題を抱える工場勤務の中年男性のストーリーでした。本人は無症状のため未受診、なかなか改善に向かないこの方について、どのように「みる」のか。
Bio(生物医学的) Psycho(心理学的) Social (社会学的)に分けて、この方をとりまくさまざまな環境や生活背景を引き出し、その関係性を把握することで”この方にとってのアプローチ法”が見えてきました。一人の人の健康を考える時には、まずは「ひとを知る」ということが大切であり、BPSモデルを用いて多元的にアプローチできることを学びました。
 
プログラム③前半ふりかえり・後半講演「自分を知る〜あなたにとってのHAPPYとは〜『CDA』」(60分)
ふりかえりの紹介の後、実際にふりかえりシートを用いて、プログラム①〜②のふりかえりを各自で行いました。その後、黒木弘明先生による講演「CDA」と移りました。講演の内容を以下にご紹介いたします。
・情報をキャッチする時のCDA(黒木先生の造語)
C:comprehend:正確な知識や概念をつかむ
D:digest:塾考して会得する
A:appreciate:正しい判断や評価をする
「情報とは、あなたの情熱が報われた時なのでは?」
 
・「自分自身の在り方」とは?
”先義後利”という孟子の言葉を例に、義=「自分の在り方」利=「自分(社会)の幸せ」として、様々な問いかけがありました。
・毎日の体験の中から、自分(の感じたこと)を確認すること。
・自分と向き合うには。
というお話の後、take home messageは「身につけた知識や経験を元に自分と向き合い、感性を育くむ」「自分の在り方を見つめて、何を目指すのか」で締めくくられ、黒木先生より「毎日が贈り物」という歌のプレゼントがありました。
会の最後には、もう一度「あなたはどんな医療者になりたいですか」の問いかけを行い、アイスブレイクで言葉にしたものと違った方も変わらなかった方も、それぞれの気づきを持って閉会となりました。

2015年11月29日日曜日

「第5回 大分家庭医療ワークショップ」 10月17日 報告

ジェネラリスト80大学行脚プロジェクトスタッフの杉谷です。
10月17日(土)に大分大学で開催された勉強会の報告を頂きましたので紹介します!!
報告書を作ってくださった荒木さん、有難うございました!
 
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「第5回 大分家庭医療ワークショップ」
 
【日時】2015年10月17日(土) 13:00~18:00
【場所】大分大学医学部看護学科棟2階
 
【講師】
宮崎 英士 大分大学医学部附属地域医療学センター 教授
塩田 星児 大分大学医学部附属病院総合内科・総合診療科
江口 幸士郎 唐津市民病院きたはた
石井 稔浩 大分大学医学部附属病院総合内科・総合診療科
平山 匡史 大分大学医学部附属病院家庭医療プログラム
江口 智子 清風会 岡山家庭医療センター
堀之内 登 大分大学医学部附属病院家庭医療プログラム
宇都宮 理恵 大分大学医学部附属病院家庭医療プログラム
石原 あやか 大分大学医学部附属病院家庭医療プログラム
岡江 晃児 大分医療センター ソーシャルワーカー
中桶 了太 長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構
岡崎 友里 浜松医療センター産婦人科専攻医 菊川市家庭医療センター家庭医
伏谷 麻友 家庭医療看護師コース卒業生
藤谷 直明 大分大学医学部附属病院総合内科・総合診療科
 
【参加人数】33名(医学生20名、医療系学生3名、その他10名(社会人:鍼灸師や看護師等))
 
【主催】大分大学医学部プライマリ・ケア勉強(OMPS)
【共催】日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト
 
【WS内容】
13:00~13:15 イントロ
13:15~13:30 アイスブレイク
13:30~14:30 ワークショップ①
       「こんなときどうする?患者さんとのギャップを埋めるには」
14:45~16:30 ワークショップ②
       「体験!多職種での意思決定!~在宅?病院?あなたのチームはどっちを選ぶ?~」
16:45~17:30 おまけセッション
       「家庭医の症例集」「後期研修を終えて」
17:30~18:00 アウトロ、写真撮影
 
 ワークショップ①では、患者さんが望む医療と医師の治療方針にギャップが生じた場合に互いにどう歩み寄るのかをロールプレイを通して学んだ。
 患者さんと医師の医学知識量の差を乗り越えて「共通の理解基盤」を作ることの難しさと大切さを感じた。
 
 ワークショップ②では、模擬多職種カンファレンスを行い、患者さんにとって在宅と入院のどちらがよいかを考えた。
 どのチームも意見がまとまらず、多職種連携の難しさを体感した。同時に、患者さんの望みや生活について多職種が連携しなければ見えてこないものが多くあることも分かった。
 さらに、多職種を構成するプロの話を聞くことができ、どんな仕事をしているのか知ることができたのがよかった。
 
 おまけセッションでは、家庭医の役割について理解を深めることができた。
 
 全体としては、時間が押したためスケジュールに余裕を作っておけばよかった。
 企画内容は、多職種連携などについて参加者が主体的に体感できるという斬新なものであり、とてもよかった。

2015年11月24日火曜日

表題翻訳プロジェクト 雑誌名:American Family Physician ; 5/1 号 (佐々木隆徳)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします

雑誌名:American Family Physician ; 5/1 号 (佐々木隆徳)
 
Articles
◎英語題名:Diagnosis and Management of Generalized Anxiety Disorder and Panic Disorder in Adults
◎翻訳題名:成人の全般性不安障害とパニック障害の診断と治療について
◎一言コメント:全般性不安障害(GAD)とパニック障害(PD)は身体疾患と判断されて見逃しや誤診が多い.診断と治療を行ううえでスクリーニングおよびモニタリングツールが有用である.GAD-7とSeverity Measure for Panic Disorderは無料で利用できる診断ツールである.治療はSSRIなどの薬物治療と認知行動療法などの精神療法の両者を症例に応じて活用する.ベンゾジアゼピン系は不安症状の抑制には効果を認めるが,依存性や有害性リスクがあるため使用は限られる.薬物療法を行う場合は症状再燃を防ぐために,少なくとも12ヶ月間は漸減せずに継続すべきである.身体活動はGADおよびPDに費用対効果の高い治療方法である.代替補完療法として植物性物質やサプリメントの一部で効果が示唆されているが,充分にエビデンスが示されたものはなく,有害事象も報告されているため注意が必要である.
 
◎英語題名:Provision of Contraception:Key Recommendations from the CDC
◎翻訳題名:避妊対策:CDC推奨事項
◎一言コメント:若年女性や未経産婦に対して避妊対策について情報提供することは重要である.その際は自施設で実施できない避妊方法も含めるべきである.CDCでは5ステップでの避妊対策を推奨している(1:患者とのラポール形成,2:患者の臨床情報や生活歴を把握すること,3:最善で最適な避妊手段を患者が選択できるよう支援すること,4:身体診察をすること,5:避妊方法を決定し,導入,フォローアップを行う).避妊希望の患者に対する配布資料には,各手法の使用方法,有益性と有害性,フォローアップ計画について明記しておく必要がある.問題になるような不正性器出血は殆どなく,避妊対策を継続することで解決する.若年女性やレズビアン,ゲイ,バイセクシャル,トランスジェンダーの人たちに対しても偏見をもたずに丁寧にケアをすること.避妊を開始した際や避妊方法を変更した際に必要となる避妊のバックアップ期間について,および避妊対策を忘れた際(内服忘れなど)の対応方法について図示されている.
 
◎英語題名:Nutrition Myths and Healthy DietaryAdvice in Clinical Practice
◎翻訳題名:臨床における栄養療法の神話と食事指導について
◎一言コメント:食事に関して幾つかの「神話」がある.例えば「カルシウム摂取は骨を強くして骨折を予防する」「脂質を沢山摂取すると太る」「食物繊維を豊富に取るのは体によい」「3500カロリーは体重0.45kgに相当する」などといったもの.しかし実際は異なっている.骨折予防に対するカルシウムサプリメントの効果は限定的で,NNT=1000(住民女性),NNT=111(施設入所者)である.また腎結石のリスクを高め,心血管イベントや大腿骨頚部骨折を高めるかもしれない.高脂質食を摂取し続けると,低脂質食やカロリー制限食と比較して同等以上の体重減少を示す.過剰加工食品(甘味料や乳化剤などをわざわざ添加した食品.Googleで”Ultraprocessed food”を画像検索すると,どういう類のものを示すのか分かる)は飽和脂肪酸が多く含まれており,心血管イベントや全死亡率と関連している.食物繊維を豊富に摂取すると,心血管イベントや糖尿病,便秘,消化器癌,乳がんの発症を抑制する.しかし機能性繊維(Functional fiber:化学合成した繊維や成分を加えたもの)の有用性は示されていない.1週間で3500カロリー制限しても体重0.45kg減量するわけではない.しかし1日100カロリー制限すれば,他に何をしなくても1年後には50%の人が,3年後には95%の人が体重4.5kg減少する.

KEEPING UP TO DATE ( Practice Guidelines ) 
◎英語題名:AAP Releases Policy Statement on Screeningfor Nonviral Sexually Transmitted Infectionsin Adolescents and Young Adults
◎翻訳題名:若年者における非ウイルス性性感染症のスクリーニングに関する指針:アメリカ小児科学会
◎一言コメント:25歳以下の若年女性は毎年クラミジア・トラコマティスと淋菌のスクリーニングを推奨する.陽性の場合はいずれも治療3ヶ月後に再検査をする.60日以内にクラミジア・トラコマティスまたは淋菌感染症と診断された人は,性交渉相手も感染症スクリーニングすべきである.男性と性交渉歴のある若年男性は,毎年クラミジア・トラコマティスと淋菌のスクリーニングを推奨する.

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

2015年11月17日火曜日

表題翻訳プロジェクト 雑誌名:Annals of Family Medicine 2015年7月号 (翻訳者 大浦誠)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。

雑誌名:Annals of Family Medicine;7月号(翻訳者 大浦誠)

◎英語題名:Community Health Center Use After Oregon’s Randomized Medicaid Experiment
◎翻訳題名:オレゴン州のランダム化公的低所得者医療扶助研究後の地域保険センター利用
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/312.full
◎一言コメント:2008年オレゴン地域保険情報ネットワークに登録された34849人を対象に、メディケイド(公的低所得者医療扶助制度)申請の有無で利用するサービスに有意差があるか検証した。メディケイド申請患者でプライマリケア訪問、臨床検査、紹介、画像検査の数が優位に増加していた。

◎英語題名:Salary and Quality Compensation for Physician Practices Participating in Accountable Care Organizations
◎翻訳題名:ACOに参加している医師の給与と品質保証について
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/321.full
◎一言コメント:ACO(Accountable Care Organizations)とは地域の開業医や病院がまとまりひとつの診療母体を形成し外来入院退院後のフォローまで電子カルテで情報を共有する米国のシステムである。プログラムに応じて保険支払い額が決定し、実際のコストとの差額の何割かが診療母体に入る仕組み。医師の診療の全国調査のデータを参照し、ACOの有無とプライマリケア費用がかかるリスクがあるかどうかで3群に分け、給与、生産性、臨床の質、ほかの要因から報酬を推定した。ACOの参加は医師の品質保証とプライマリケアコストのリスク回避には有効だが、実際の給与には反映されていなかった。

◎英語題名:Sleep Apnea and Risk of Panic Disorder
◎翻訳題名:睡眠時無呼吸はパニック障害のリスクとなる
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/325.full
◎一言コメント:睡眠時無呼吸症候群はうつ病や不安障害の発症リスクであることはこれまでに知られている。ではパニック障害はどうなのかというのを調べた研究。デザインはコホート研究。台湾国民健康保険研究データベースで2000年から2010年までに登録されている8704名の睡眠時無呼吸症候群患者と34792名の対照者を比較し、一次エンドポイントはパニック障害の発生とした。結果は合計43496人中263名が平均3.92年でパニック障害を発症され、無呼吸群は117名(1.34%)、対照群は146名(0.60%)で、カプランマイヤー分析ではP<0.001で有意差があり、多変量解析ではハザード比2.17(95%信頼区間,1.68-2.81; P<0.001)であった。

◎英語題名:Erectile Dysfunction and Undiagnosed Diabetes, Hypertension, and
Hypercholesterolemia
◎翻訳題名:勃起不全と未診断の糖尿病、高血圧、高コレステロール血症
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/331.full
◎一言コメント:勃起不全が未診断の糖尿病のスクリーニングに使えるか検証。2001年から2004年の間に国民健康栄養調査に参加した20歳以上の男性に対し、インタビューで勃起不全の有無を確認した。勃起不全と未診断の高血圧、高コレステロール血症、糖尿病との関係についてロジスティック回帰分析を用いて分析した。高血圧と高コレステロール血症は関連を認めなかったが、多変量解析で勃起不全の男性はオッズ比2.2倍(95%信頼区間,1.10 4.37; P<0.001)であった。40-59歳の男性で未診断の糖尿病の割合は、勃起不全なければ1/50、勃起不全があれば1/10と増加した。勃起不全は未診断の糖尿病のスクリーニングを開始するきっかけにする必要がある。

◎英語題名:Correlates of Sexual Activity and Satisfaction in Midlife and Older Women
◎翻訳題名:中年と高齢女性の性的活動と性的満足度の相関
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/336.full
◎一言コメント:過去の研究では、高齢になるほど性的活動が低下していることは知られている。本研究は女性の性的活動の割合と性的行為や性的満足感に関連する要因を明らかにした。2116人の女性にインタビューし1345(61.8%)の女性が過去6ヶ月で性的にアクティブであり、その割合は加齢とともに減少した。既婚者・同居者の性活動はオッズ比7.91,(95%CI,4.16–15.04; P <.001)であり、結婚・同居した60歳以上の女性のうち59.0%は性的にアクティブであった。性的満足度は関係の満足度(P<0.001)、より良いコミュニケーション(P=0.011)および性行為の重要性(P=0.040)に相関があり、年齢とは相関がなかった(P=0.79)。中年高齢の性的満足は心理社会的要因(関係の満足度、ロマンチックなパートナーとのコミュニケーション)と関係していることがわかった。

◎英語題名:Rates of Anomalous Bupropion Prescriptions in Ontario, Canada
◎翻訳題名:カナダ、オンタリオ州における不適切なブプロピオン処方数の割合
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/343.full
一言コメント: うつ病と禁煙補助薬としてのブプロピオンが処方されるが、コカインのように乱用が問題となっている。これまでにブプロピオン誤用の有病率について大規模データが存在しないためオンタリオ州のブプロピオン処方動向を調査した。デザインは横断研究で、2000年4月1日から2013年までのオンタリオ州の公共薬物プログラムに基づく処方数を調べたところ、ブプロピオンの初回処方は4.8%から3.1%に低下していた。代替薬との比較はシタロプラムよりも多く(3.1% vs 2.2% P=0.16)、セルトラリンよりも少なかった(3.1% vs 2.9%, P=0.16
)。潜在的なブプロピオンの不正処方の増加率は0.47%と全体の処方が0.05%以下に対して多く、シタロプラム(0.11%)やセルトラリン(0.12%)よりも有意に高かった(P>0.001)。

◎英語題名:Exploring the Patient and Staff Experience With the Process of
Primary Care
◎翻訳題名:患者とスタッフのプライマリケアのプロセスの経験を探る
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/347.full
◎一言コメント:ハイリスクな患者にはスタッフは高い質のプライマリケアを提供できている。では低所得者や慢性疾患の患者さんとその患者をケアするスタッフはプライマリケアのプロセスでどのような経験をしているのかを調査した21名の未保険またはメディケイドの慢性疾患の患者と3施設30名のプライマリケアスタッフに対して定性的なインタビューを行った。結果はインタビューによりプライマリケアのエピソードのすべての段階で存在していた3つの主要な問題点を明らかにした。その3つとは(1)対話を積極的におこなったにも関わらずケアのエピソードの情報が頻繁に変わる、(2)患者、医師、スタッフでゴールが揃わないためケアができない、(3)患者とスタッフの間で個人的な関係が強くなった、であった。

◎英語題名:Catching Up With the HPV Vaccine: Challenges and Opportunities
in Primary Care
◎翻訳題名:HPVワクチンのキャッチアップ:プライマリケアにおける課題と機会
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/354.full
◎一言コメント:臨床医はHPVワクチンの接種を推奨しているがその接種率は高くはない。そこで医療提供、医療政策、および情報を与えられたあと、意思決定に影響を与える要因について評価を行った。方法はプライマリケア臨床医、保険政策立案者、および免疫の専門家との定性的な徹底的なインタビューを実施し、RIOSネット臨床医のメンバーに配布確認調査を行った。結果は、ヘルス・サービス・デリバリの問題が、HPVのワクチン接種の障壁となっていた。特に適切な患者へのリマインダーや追跡が不十分である。臨床医はワクチンによるがん予防の利点と適齢期であることを強調してカウンセリングアプローチをしたほうが良い。ワクチンの意思決定に社会文化的な影響のエビデンスはなく、過保護になっているわけでもなかった。長期間の調査で、患者の態度やヘルス・システム・デリバリーはワクチン接種にもっとも大きな影響を与えていることがわかった。革新的なコミニュケーション技術への介入ワクチン接種を促進するヘルスシステムの変化に取り組む必要がる。

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

2015年11月9日月曜日

若手医師部会 10月活動報告をアップいたします

若手医師部会 10月活動報告をアップいたします。
<要約>
・第7回秋季生涯教育セミナー若手医師2次会開催予定
・雑誌「レジデントノート」『総合診療はおもしろい』2月のテーマへのアイデア募集あり
・会則改定・公式化タスクフォース現行会則へのコメント募集中
・『若手医師部会の案内のお願い』原稿 各プロジェクトへ依頼中
・若手医師のための家庭医療学冬期セミナーでの若手医師部会プレWS企画進行中
・80大学行脚の勉強会が最近活性化
・専攻医に対するアンケート調査を企画中
・雑誌「治療」の「すんなりシリーズ」 2月号執筆者選定中

2015年11月8日日曜日

自治医科大学「医学生の疑問を解決しよう」お知らせ

ジェネラリスト80大学行脚プロジェクトスタッフの杉谷です。
11月22日(日)に自治医科大学で開催されるセミナーを紹介します!!
ぜひご参加ください。
 
***********************************************************************
「医学生の疑問を解決しよう」
 
皆さんは毎日の学生生活をどのように過ごされていますか?
おそらく勉強や部活・サークル、バイトやボランティア、さらにはゲームをしたり友達と遊んだりと様々な生活の中で、ふと、「将来医師となった自分には、どのような人生が待っているのだろう。」と思われたことはありませんか?
あるいは、「外部の医学セミナーや企画に参加してみたいが、なかなか一人で行くのはハードルが高いから難しい。」と思ったことはありませんか?
 
そのような皆様のために、今回35、36期自治医大卒業生の3人の先生方が自治医大医学部寮まで来て、私たちが普段抱く素朴な疑問や質問に答えてくださいます!
さらに、それだけでなく、“現場で働く医師としての目線”と“自治医大生という学生時代の目線”の双方の観点から、将来の私たちにとって必ず役に立つお話をして下さいます。
ぜひ、一年生をはじめ低学年の方から高学年の方まで、少しでも興味を持ってくださった方はお気軽にお越しいただけると幸いです。
なお、今回の企画に関しての詳細は以下をご覧下さい。
 
【日時】2015年11月22日14時〜17時
【場所】自治医科大学医学部学生寮和室
【参加対象】医学部1−6年生
【参加費】無料
 
【講師】
    平野貴大先生(35期青森県)
    村山愛先生(35期千葉県)
    深瀬龍先生(36期山形県)
 
【企画内容】
14:00〜14:10 アイスブレーキング
 普段からの疑問をみんなで打ち明ける
 
14:10〜15:30 先生方によるレクチャー
  ・地域実習・自治医大について
  ・死生観
  ・キャリア・生活・楽な生き方の模索
(上記の3つのブースに分けて各ブース20分で3つのブースを移動)
*ブースのテーマは変更となる可能性があります。
 
15:30〜15:45 小括
 各ブースで出た話をまとめる
 
15:45〜16:00 休憩
 レクチャーを受けて思った疑問や質問を挙げる
 
16:00〜17:00 総括
 これまでに挙がった疑問や質問に対して先生方がお答えしてくださいます!
 
当日は先生方が本気で私たちの些細な疑問・質問に答えてくださいます。多くの方々のご参加をお待ちしております。
 
【参加申し込み・お問い合わせ】
自治医科大学 2年 栃村亮太
(m14083rt*jichi.ac.jp)
(*に@を入れてください)
 
【主催】Jichi Familymates
【共催】日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト

冬期セミナーポスター

第11回若手医師のための家庭医療冬期セミナーのポスターです。かわいらしく仕上がりました。11月7日、8日の秋季生涯教育セミナーでも配布させていただいております。実はこのポスターはまだ完成形ではありません。何が追加になるかは乞うご期待!

2015年11月7日土曜日

埼玉医科大学「結局、総合診療専門医、って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜」

ジェネラリスト80大学行脚プロジェクトスタッフの杉谷です。
11月14日(土)に埼玉医科大学で開催されるセミナーを紹介します!!
ぜひご参加ください。
 
***********************************************************************
結局、総合診療専門医、って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜
 
【日時】:2015年11月14日(土) 13:30〜17:00
【場所】:埼玉医科大学 毛呂山キャンパス オルコスホール1531教室
【対象】:関東周辺の医学生,その他興味のある方
(*内容が医学生に偏りますが,興味のある方なら誰でも参加O.K.です)
 
【概要】:
みなさん,2017年度から始まる”新専門医制度”ですが,現在どの程度決まっているかご存知でしょうか。
将来のことについて,不安になったり,心配になったりと見えにくい今の制度に少なからず疑問を抱いている人が多いかもしれません。
そこで,第19番目の基本領域に ”総合診療専門医” が設定されることが決まったことは記憶に新しいと思います。
将来の自身を見据える中で,何を基準に考え,制度の中身はどうなっているのか,自身のキャリアパスはどうなっていくのか…。
 
埼玉医科大学の中元秀友教授にご講演いただきます。
また”総合診療専門医”の枠組みを第一線で構築し,推進している筑波大学の前野哲博 教授をお招きして,埼玉医科大学でご講演いただきます。
そして,みなさんと意見を交換する場もございます!
 
授業では聞くことのできない最新の情報をぜひこの機会にお聞きください!
 
【内容】:
①前野先生講演「新専門医制度と総合診療専門医」
②中元先生講演「総合診療と埼玉医大における総合診療内科の今後の展望」
③グループワーク「総合診療って,何なの?」
④「徹底討論!総合診療医というキャリアパス」
 
【キーワード】:
新専門医制度・総合診療専門医・キャリアパス・家庭医療/総合診療
 
【スケジュール】
13:30
▼ Opening Remarks
・スケジュール,諸注意の確認
・グループワーク①総合診療のイメージって?
▼ 中元先生講演 総合診療,埼玉医大での今後の展望など
▼ 前野先生講演
前半:総合診療とは
グループワーク②総合診療のイメージは変わりましたか??
後半:新専門医制度について(新しい「総合診療専門医」)
▼ シンポジウム
 
17:00 Closing Remarks
▼ 集合写真
 
17:50
▼ 懇親会
細かな質問は懇親会で(^^)/
 
【講師紹介】:
中元 秀友:埼玉医科大学 総合診療内科 教授、埼玉医科大学病院研修管理委員長 
前野 哲博:筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 附属病院 総合臨床教育センター・総合診療科 教授/日本プライマリ・ケア連合学会 副理事長
柴﨑 智美:埼玉医科大学 地域医学・医療センター 准教授
高木 博:筑波大学 総合診療グループ 大和クリニック 副院長(埼玉医大卒業生)
大塚 貴博:医療法人麻葉会 明戸大塚医院 院長(筑波大学 総合診療グループ)
遠井 敬大:日本医療福祉生協連 家庭医療学開発センター(CFMD)/川崎セツルメント診療所 所長(埼玉医大卒業生)
高橋 聡子:筑波大学 総合診療グループ 後期研修医
橋本 正良:埼玉医科大学 総合診療内科 教授 外来医長
小林 威仁:埼玉医科大学 総合診療内科 講師 病棟医長
 
【主催】:日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部会 関東支部
【共催】:
埼玉医科大学地域医学・医療センター
日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト
 
【参加費】:無料
【懇親会】:学生:2000円程度,学生以外:3000円程度
【お申し込み】:https://docs.google.com/forms/d/1q5atybw2UdLJbYg7KNr2v0bsWmUbpkoTJs1Aj3YV8KY/viewform